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2008年2月12日 (火)

古ノート

 久しぶりに、三日間ほど田舎に帰ってきました。
帰って早々驚かされたのは、我が家の庭にオオタカが舞い降りたということです。
娘たちによく聞くと、どうやら鷹匠が放ったオオタカらしく、我が家の庭(ジャングルと化しております)に雉が集まっているのを狙って放した模様です。
さっそく、無断で立ち入らぬよう抗議しました。雉たちは我が家の犬の餌を狙ってくるらしく、犬たちも慣れてしまって平気な顔で鳥たちが食べるにまかせています。
まったく、番犬にもならない犬たちですが、名も知らぬ鳥たちがきて犬の餌をつついているのを見ることは、とても楽しいものです。

 離れの書庫を整理していたところ、古いノートが数冊でてきました。
驚くなかれ、40年ほど昔のノートです。
学生時代、講演会での話を聞き憧れていた、ある大学の文学部教授がいました。
どうしてもその教授の講義が聞きたくて、他大学であるにもかかわらず聴講に行ったことがありました。
その時代、いわゆるドロボウ聴講と言われた行為です。
しかし、一度も咎められたことなどなく、実に大らかな時代でした。

 その教授の講義は、それはそれは面白くて、私の本分が法学であったにもかかわらず何度も何度も夢中で通ったものです。
当時、私は「能楽研究会」というサークルに属しており、そのメンバーの中に文学的才能に溢れた仲間が多数おりました。
父親が歌人という先輩から、その父君が出版された詩集を戴き読んだ時のショックなどは今でも鮮明に覚えているほどです。
私も見よう見真似で作品を仕上げ、同輩に読んで貰ったりしておりました。
その時の同輩の辛らつな評も思い出すことができます。

 当時、私たちのサークルでは、怖れ知らずにもいくつかの新作能を創っておりました。
その作品を作家の三島由紀夫氏に読んでいただいたりしていたため、文章を書くこと、そして日本語というものに非常に関心を抱いておりました。
その教授の講義は、日本語の使い方を、和歌、俳句、小説、川柳などを例題とし、丁寧に教えてくださるものでした。特に印象に残っているのは、日本の文化では隠された意味を理解することが大切である、という教えでした。
和歌や俳句の一字一句の奥深さ、小説ではその行間を読むことの大切さ、面白さなどなど。ノートは私の「黄金時代」の思い出で満ち溢れていました。

     夜も尽きじ   寝屋の明かり火   手枕も
              真菰の風に    酔ひも早失せ
   ( よもつきじ    ねやのあかりほ    たまくらも
             まこものかぜに  えひもはやうせ )
 

上記の和歌は、方丈記で名高い鴨長明が知人に宛てたものと云われているものですが、一人淋しく、無聊をかこつ心情が良くでているといわれています。(一部記憶が曖昧なところがありますので、正確な句をお知りの方は教えてください)
ところが、五七五七七の頭の言葉だけを読むと、よねたまえ(米給え)となり、後から同じように最後の字を読むと、せにもほし(銭も欲し)という言葉が隠されております。
和歌や俳句、川柳などばかりでなく、絵画などの日本文化にもそのような隠された意図があるということです。(尾形光琳の紅白梅図屏風には女体が隠されている等々)

 教授の講義を夢中で聴講したにしては、私の文章力がさほど上達しなかったのは、まあ、才能というものでしょう。
しかし、自分の文章力が上達しなかったとはいえ、日本語に対する認識力という点ではかなりの収穫があったと自負しております。思えば私の日本語理解の原点はここにあったのだと、古いノートを手に取りながら感慨に耽っております。

 今、私は「古代文字」や「記紀」に取り組んでおりますが、文章に書かれていない部分に作者の意図を見つけ出そうと躍起になっております。
祝詞や神示、神言などにはその一部を発見しておりますが、いま一番悩んでいるのは「宣命体」です。隠されたメッセージが存在するはずですが、この漢字ばかりの文章はかなり手ごわい相手なのです。
「漢音」「呉音」「大和ことば」の組み合わせの法則も、この「宣命体」には全然当てはまらないようなのです。でもこの不可解さに挑むのが実に楽しいのです。
今夜もワクワクしながら挑んでおります。  

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